世界銀行が6月24日に発表された「モンゴルの国家収支に関する概要及び財政分析」に関する報告書で、モンゴル経済の外部リスクを懸念するとともに、税率の見直しや官僚制度改革等が指摘された。

今回の報告書は「債務負担がなく持続可能で、誰でも受益者となれる経済成長を目指すに」をタイトルで発行されており、統計データ分析のほかに長期社会経済開発計画において不可欠な要因である教育や保健などの主要分野に対しても経費の根拠や必要性なども配慮された。

24日の記者発表会では、ジャン・パスカル・ガヌーWBモンゴル担当チーフ・エコノミストは「モンゴルの経済と国家予算は、国際原料相場の影響を受けやすい上、鉱業部門への依存が高いままだ」と経済の外部リスクを懸念しながら、「歳入を増やすチャンスもある」と述べた。

WBの報告書では「ここ数年、モンゴルは拡張的な財政政策を採られたため、財政規律が乱れた」と財政政策が問題視。さらに「政府負債が高いレベルに達したわりに、納税水準が低い上、税制優遇や税額控除も多く存在している点は、返って原材料の外需、国際相場価格、為替レート変動、外国の政策金利引き下げなどの影響を受けやすい経済構造を強いている結果を招く」と問題点が指摘され、「経済成長期に資金積立を通じて財政リソースを十分に確保すべき」と提言された。

ガヌー氏は「鉱業だけが2018年の国家歳入の28%を担った。鉱業への過剰依存を緩和させるため、段階的な歳入システムを導入させる必要がある」とし、「モンゴルの税率は、諸外国に比べると低い」と税率見直しを促した。さらに「税制優遇や税額控除の見直しを通じて課税ベース拡大を図るべきだ」と語った。

また、モンゴルの政府負債がここ5、6年で急増したと、報告書で指摘された。そのほか、一般歳出に対する俸給の負担が大きくなり、経常支出において大きな割合を占める。公務員の人事移動を起因に関係省庁の経常支出が増加されているという。この点に関して、WBは「政治から介入を受けにくい官僚制度の改革を実施すべき」とした。