道路は右側通行にもかかわらず、左ハンドル車と右ハンドル車が混在して道路を走っているモンゴル首都、ウランバートル市。特に、右ハンドル車の多さに仰天するだろう。一部を除いてそのほとんどは日本製中古車。使い回しの頑丈さと手軽な安さから、日本製中古車は、庶民の間で大人気。そんな中で、右ハンドル車の輸入業が曲がり角を迎えるかも、とのニュースが世論を騒がせている。

問題の発端は、ビャムバスレン・エンフアムガラン道路・運輸開発相が4月23日、国会へ提出した道路交通法の一部改正に関する法案で、後に明かされた右ハンドル車の登録手続きに関する部分だ。同原案の第23条7項2が、右ハンドル車の国家登録を禁じると、規制する方向性を打ち出しているからだ。一方、エンフアムガラン道路・運輸相は、取材で「現段階において、政府として右ハンドル車を規制する方針がない」と右ハンドル車規制について否定するなど、問題は転々している。

この問題に対して賛否両論がある。安全面からの懸念という賛成があれば、中古車輸入事業に対する強制的縮小との反対もある。

右ハンドル車は、追い越し時の視認性の悪さなど安全面が度々懸念される。確かに、専門家の中でも、モンゴルは右側通行だから、右ハンドル車を安全面から問題視する声がある。

一方、モンゴルは自動車の生産国ではなく、あくまで消費国である。経済発展に伴い、国内車両数も急増。なんと1999年から約20年間で、その台数が13倍の97万台増えている。特に中古車市場も急激に拡大したという。中古車輸入事業は、行政が打ち出す様々な方策へ消極的で、なかなか妥協しようとしない。両者は利害関係にあるから、行政が講じる方策、特に増税措置等が中古車購入メリットの一つであるコストパフォーマンスを悪くするからといえる。今後、改正法案成立の阻止を図って、事業者側も必死な抵抗を訴えるだろう。また、政権与党も来年に総選挙を控えながら、庶民の私生活に密接な関係している問題で、危険度MAXの綱引きをしないだろうとも思われる。