いつもの愚痴から始まるコラムになってしまいそうですが、大目に見てやって下さい。

こんにちは、もんにちは。

愚痴大王ゾリゴです。

先日、NHKの番組を見ていましたら、中国のIT企業とアメリカのIT企業が覇権を争う次代になりました!と言った内容のドキュメンタリーをやっていて、その中で紹介されていたのはAI(アーティフィシャル・インテリジェンス)を活用したドライバーレス運転の実現と都市型交通のあり方、そこにビックデータを使って中国がどんなに活躍しているかと言う内容が放送されていました。

以前から個人ブログなどでもいっぱい愚痴を書きましたが、交通渋滞が酷く、タクシー会社も殆ど機能しないモンゴルにとってもこう言ったサービスが必要だと感じていたのです。

そんな中、去年の暮れから今年にはじめにUberやGrabに似たサービスがいくつか出来たのです。UBCabと言うアプリ(個人的な感想としては、行き先をピンで指せないので、アプリとしては、言葉をしゃべれない人が使いにくいなどの改善点があるものの、試みとして喜ばしいもの)とABAと言うアプリが人気を集め始め(こちらは、行き先も拾ってもらう場所もピンでさせるので、Uber等により近いサービス&利用者の個人タクシーさんも多かったが、未だ契約タクシー運ちゃんへの教育が行き届いていないのか、すぐ電話してきちゃうと言う改善点はありましたが)、利用者も増え始めていたのです。

私は、モンゴル人なので、タクシーは拾えるし、行き先も言えるが、それでも料金に関する揉め事などいろいろあるため、こう言ったサービスが待ち遠しかったのです。在モンゴルの外国人から見たらなおのことでしょう。

ま、そんな喜ばしいニュースがある中、つい先日、モンゴルの料金システムについても書いた通り、ウランバトル市公共交通局から「個人タクシーの廃止・初乗りと追加料金の設定についての規制」が発令され、2月1日から有効となったのです。規制の導入の仕方も問題あれば、発令から実行までの期間があまりにも短すぎる点、既存の個人タクシーが影響が最小で済むようにどのような手当てするかなども不明と言った問題点が多く存在する中、恐れていたことが実現されてしまいました。

まずは、誰彼構わず罰金を課すと言う乱暴なやり方が実現されたのです。

十分な猶予期間も与えていないのに、いきなり警察が動き出し、個人タクシーやタクシー会社に罰金を貸し始めたのです。1キロ当たり1000トグログで運転する個人タクシーに対して10万トグログの罰金、タクシー会社に対して100万トグログの罰金が初日から課せられてしまったのです。

その後に、総理大臣から「国民の懐に土足で踏み込むのでない」とこの罰金運動を辞めさせたのですが、こう言ったところでも、計画性のなさ、政策実施前の影響度評価などの必要政策のなさなどが批判を浴びる的にならざるを得ない状況になってしまっているのが目に見えています。

それだけで飽き足らず、この罰金騒動に乗じて、市場への新規参入企業であるUBCabとABAに対しても理不尽な対策をとったことがわかりました。
まずは、不必要な情報開示の要求。

- 市とのタクシー運用契約書の開示(ま、これは理解出来ます)
- 契約個人タクシーとの契約の開示(模範契約内容と、契約個人タクシーの名簿だけで十分ではないでしょうか?)
- 契約個人タクシーが使用する車体の詳細情報
- 今までアプリを利用した個人及び契約タクシーのトランザクションデータの全ての開示 (ここまで詳細なデータは企業秘密や個人情報にも及ぶものであり、このデータは異なるビジネスに悪用されない保証もない中、ここまで開示を求める?)

一見、対応可能な内容に見えますが、実は落とし穴が。

モンゴルで走っている車の大半が右ハンドルで、特に安価で燃費の良いプリウスはタクシーによく使われているのは皆ご存知かと思います。

一方、市が定めた公共交通規定では、タクシーは左ハンドルでないといけないと言う文字があり、そのため、上記の二社は罰金を課された上、余儀なくタクシー会社が運用を中止しないといけない状況に追い込まれました。

いやいや、輸入される車に規制をかけたり、税金等で対策を立てるなり、いろいろなやり方があるだろうに。それか、現行モンゴルで走行中の車の8-9割が右ハンドルなら、規制緩和をするなり、何かしら解決策はあるでしょうに? 何故にやっと消費者の安全性も考慮し、税金も払うシステムを開発したスタートアップ会社を苦しめるの?元はと言えば、実現性が皆無に近い規制を設けたお前らのせいだろうに?と怒りがふつふつと湧き上がって来ました。

タクシーだけではありません。

飲食業界でも、予防策をとらずに、後の祭りとしてビジネスに手を出す例が後を絶たないのです。

先日、豚コレラが流行した時、専門的監査局から数多くのお店から豚肉とハム等没収しました。いや、病気が流行ったならやむを得ないかも知れません。ただし、豚コレラの発症は中国なのにも関わらず、ヨーロッパや、その他の地方から輸入された生ハムなども没収されました。いやいやいや、後の祭りで没収するのではなく、輸入される時点で検査を行い、安全なものは安全なもので市場に供給し、危ないものは先に対処するべきじゃないか? もっとも、この豚コレラは人間への感染はしないと言うじゃないか?じゃあ、私財を投じた飲食店等への賠償金はどうなるの? 誰が責任を取るの?似たような事例で、KFCザイサン支店で食中毒が発生した後の対応。原因は、KFCの従業員が食中毒を引き起す伝染病にかかっていたにも関わらず、偽者の医師診断書を用意し、働いていたとのこと。どうもキナ臭い。専門的監査局が自らの衛生基準に対して怠慢な態度をとったことを隠し通し、誰かのせいにしただけじゃないの?と私は思うのです。彼らの本来の仕事は予防対策であるが、こう言った後の祭りで大金の罰金を課し、営業停止に追い込むことが多々見られるためです。それなのに、夢物語みたいな実現不可能な規制案を思いついては中小企業に押し付ける傾向があります。以前、ウランバトル市内で1階で営業する飲食店を全て営業停止にすると言った発言していたのも記憶に新しいです。いやいやいや、その根拠は?国民の胃袋を誰が養うの?

時代遅れの基準を儲け、国民に弾圧するのではなく、問題になりそうなものを抽出し、解決策を考えるのがお前らの仕事だろうに?と。

と、まあ、長々と愚痴を書きましたが、本題。

2019年1月末に米国Heritage Foundationより「Index of Economic Freedom」(経済自由度インデックス =ビジネス環境のしやすさを示すインデックス)が発表されました。

ワールドバンクが発表する「Doing Business」ランキングに類似するランキングですが、インフラストラクチャーなどよりも、政府の規制、法律の実行性、規制の効率性等に焦点を当てたランキングです。上記のような、行政がどの程度ビジネス環境を抑圧しているかなどを示す指数としてより最適なインデックスとなっています。

この結果、モンゴルは186ヵ国中126位に順位されており、分類わけとしては「Mostly Unfree」、つまり「経済自由度がほぼない」と分類されました。昨年の結果より1位後退した結果となりました。(ちなみに、Doing Businessランキングでは74位となっています)

ちなみに、アジアでは、分類別に以下の通り:

1. 経済的に自由な国 (Free): 香港(1位)、シンガポール(2位)と全6カ国中2カ国がアジア (ニュージーランド、オーストラリアを含むと4カ国)

2. ほぼ自由 (Mostly Free):台湾(10位)、マレーシア(22位)、韓国(29位)、日本(30位)と全28カ国中4カ国がアジア、他はヨーロッパを中心とする国々

3. そこそこ自由 (Moderately Free): タイ(43位)、インドネシア(56位)、カザフスタン(59位)、アゼルバイジャン(63位)、トルコ(68位)、フィリピン(70位)、ブタン(74位)キルギス共和国(79位)と全58カ国中8カ国がアジア

4. ほぼ不自由(Mostly Unfree):      ロシア(98位)、中国(100位)、カンボジア(105位)、ラオス(110位)、スリランカ(115位)、バングラデッシュ(121位)、タジキスタン(122位)、モンゴル(126位)、ベトナム(128位)、インド(129位)、パキスタン(131位)、ネパール(136位)、ミャンマー(139位)、ウズベキスタン(140位)、アフガニスタン(152位)と63か国中15カ国がアジア

5. 抑圧された(Repressed): トルコメニスタン(164位)、北朝鮮(180位)と22か国中2カ国がアジア

となっています。

時系列では、以下の通りとなっており、特に直近の悪化は目立つばかりです。2005年から2013/2014年までは「そこそこ自由」の国として改善されていましたが、それ以降悪化、特に2017年以降は4-5パーセンテージポイントも下がっています。政治家による海外投資家への抑圧、オユートルゴイやその他の大規模プロジェクトを巡る政府スタンスの変更などがもろに数字に表れているかに見えます。

出所:Heritage Foundation, Index of Economic Freedom
注:赤はMostly Unfreeだった時期、青は「Moderately Free」だった時期

この指数は、80%以上は自由(Free)、70-80%はほぼ自由(Mostly Free)、60-70%はそこそこ自由(Moderately Free)、50-60%はほぼ不自由(Mostly Unfree)、50%以下は抑圧された(Repressed)という意味合いだが、主な指数は以下の通りとなっています。

法律実行性

  • 財産権 (Property rights) 48.2 (抑圧されている)
  • 政府の一貫性 (Government Integrity) 29.8 (抑圧されている)
  • 司法の効率性 (裁判決断の実行性)Judicial Effectiveness 23.8 (抑圧されている)

政府サイズ

  • 政府支出 (Government spending)  63.1 (そこそこ自由)
    (ちなみに、この数字は2014,2015年には抑圧された40%以下を示していた)
  • 税務負担 (Tax Burden) 88.5(自由)
  • 財務健全性 (Fiscal Health)6.2(抑圧されている)

規制の効率性

  • ビジネスの自由度 (Business Freedom)66.0 (そこそこ自由)
  • 労働の自由度(Labor Freedom)75.0(ほぼ自由)
  • 貨幣の自由度(Monetary Freedom)77.8ほぼ自由)

市場の自由度

  • 貿易の自由度(Trade Freedom) 75.8(ほぼ自由)
  • 投資の自由度 (Investment Freedom) 50.0(抑圧されている)
  • 財政の自由度(Financial Freedom) 60.0(そこそこ自由)

綺麗に二分化されているのが見て取れます。特に、財産権、政府政策の一貫性、司法の実行性と政府の財務健全性は赤点どころではありません。

政府政策の一貫性に関しては、海外投資家から常に指摘されているものですが、上記の例にも現れるように、罰金等を含む些細な規制や政策に関しても、事前に知らせることもなくコロコロ変わることによる機会損失の大きくなっています。2005年まではこの数字はかろうじて50%程度で推移していましたが、2011年以降は大暴落、20%台にまで落ち込んでしまいました。

財産権に関して、現政治家の下では先行きが明るいとは言えないかも知れません。2018年末に、現国会議長、当時官房長官のザンダンシャタル氏の指揮の元で、サルヒット銀鉱山の発掘特許を無効にする政府決定が発令され、営業中の鉱山に特攻隊を用いて乗り込んだ事件がありました。当該鉱山の不法性等についての弁明はあったものの、やり方としてとても許しがたいやり方だったと思われます。特に、詳細な情報を与えないまま、「国民の冨を一法人が独占するなどあってはならない」などのポプリスト的な弁明だけでは、今後投資を考えている海外投資家にどのようなメッセージを与えるかを十分に配慮するべきあり、仮にも裁判所からの判決が出たのであれば、内閣が特攻隊を用いて武力行使するのではなく、裁判所の実行部隊が判決実行をするべきかと思われます。

上記と関連するのが、Heritage Foundationが3年前から導入した新たな指標である司法の実行性です。モンゴルは世界平均の45%を遥かに下回る23%となっています。昨今の中小企業基金問題に司法が未だに介入できずにいること、以前テレビで国会議員が裁判官に対して「お前が逆らうのであれば、法律を変えちゃう権利だって我々にあるのです」と言う暴言にも現れるように、モンゴルは立法、司法、行政の独立性がまず乏しく、立法を担っている国会が全ての権利を有し、司法と行政に関しては本来あるべき権利を有効に使えていないように見受けられるのです。これにより、立法権利と情報へのアクセスを悪用して自分のビジネスにプラスになるように法改正をする、競合他社に不利になるように仕向ける、政府予算に介入し、有利な条件で借入れをするなど数多くの不正が起きています。また、立法、司法、行政の役割分担、責任の境目がわかりにくくなることで、上記のサルヒット鉱山のように、本来なら裁判所が判決を実行させる部隊を送り込むべきなものをなぜか行政を担うべき内閣がしゃしゃり出ると言った具合に、捩れが生じているのも現実です。モンゴルの司法では時間や費用ばかりかかって、裁判所の判決が出てもなお裁判所に従わないと言ったケースは多いです。

テレビで見た人もいるかも知れませんが、つい最近の事例としてブリティッシュ・スクール・オブ・ウランバトルでの騒動もその一つです。少数株主兼マネジメントが私立学校の学費を横領していたことで裁判が起き、51%の株主の主張どおりにマネジメントを変える判決が出たにも関わらず、一年間にも渡り前マネジメントが居座っていたため、セキュリティ部隊を用いて学校に乗り込んだと言う騒動です。本来なら、セキュリティ部隊を用いるのではなく、司法実行部隊の仕事なのに と 見ている側も目が点になりました。

ちなみに、中小企業支援基金等いくつかの基金に審査が入り、問題点があった7つの基金は廃止、中小企業支援基金、作物支援基金、農家支援基金等の3つの基金を統合するとのニュースが出ていますが、根本的な問題点はどこにあったか、何故問題が起きたか、今度の再構成でどのように問題解決するかについて全く説明がありませんでした。説明にあったのは、用途が異なる別々の基金から借入れしていた企業があったため、基金を統合する形で解決すると言う説明のみ。それだけでなく、中小企業支援基金問題など、明白な改善すべき問題があるのに、現官房長官はなんと30年前の「1992年の民営化の問題点を洗い出す」などと言って、ワーキング・グループを結成するなどと言っているのです。問題点を追求するのは良いですが、解決策は何か、今後にどのように生かすのかと言ったことから、問題点があったとしても30年たった今責任をどうとらせるのかなど、不明な点が多いです。目先の問題点を濁し、別の問題に摩り替えようとしているとしか見えません。。。過去に過ちあったかどうかは調べる必要はあるとは思いますが、これは今、政府がやるべきことでしょうか?ただの歴史学者でもやれることなのでは?などと疑問符が立つばかりです。

一国民として、司法の実行性と裁判所の権利が強まること、そして無責任な政治家の責任追求を望む限りです。

最後に投資の自由度です。ビジネスの自由度や労働の自由度、税務負担など、多くの項目においてそれなりに優秀な点数を有しているにも関わらず、政府と政治家の不届きでここまで投資家と国民の不信を招いてしまうなど、本当にもったいないことです。

と、今日もまた愚痴の多い記事になってしまいました。

もんじゃ、次回まで♪