こんにちは、もんにちは。

しばらくぶりにコラムを書きます、ぞりごです。
さてと、今回は、珍しく、若干政治的な風味を持たせたテーマで書きたいと思います。

フレルスフ総理大臣が頭となる内閣が結成されてから1年。この内閣がこの365日で何をやって来たか、果たして政策的に成果を挙げているのか?という議論が最近巷でよく聞こえて来ます。

昨年2450トグログ前後で推移していた米ドルが今や2565トグログにまで跳ね上がったじゃないか!ガソリンも、昨年1600トグログ台だったのが、今や1800トグログ台にも跳ね上がったじゃないか?と言う批判の声も多く聞こえて来ますので、この辺りについて個人的な見解を書いて行きたいと思います。

米ドル/トグログ為替レート

5ヶ月前に2018年の国内総生産成長率が3.8%前後になるでしょうと予測されていましたが、先週ADBの予想ですと6.8%前後の成長率となる見込みとなっています。海外貿易も順調に推移していますし、以前から動かざる猿とみなされていたタヴァントルゴイのIPOが2019年に計画されており、原油蒸留工場プロジェクトもインドの投資を持って動き始めました。外貨準備高も、輸入総額の半年分に相当する水準を保っており、概ね経済は順調に推移しているように見えます。来週に発表される2018年第3四半期の経済活動の報告は楽しみです。

このようなポジティブなニュースが多い中でも、国民の目はどうしても価格変動や、為替変動に逸れがちなのは、仕方がないことなのかも知れません。

外部要因の方が大きいとも知らずに、「おい!モンゴル銀行! おい!政府! なにやっているだ!」と怒り狂う人も多いでしょう。

トランプ様が貿易戦争をいろいろな国に仕掛け始めてから早6ヶ月。各国の通貨為替も大きく変動し、ロシア等の国が原油等を含むものの物価を上げました。本日、新興市場におけるドル不足を懸念して調達金利が上昇、日本の銀行の調達金利も9月に年率換算で3%台前後とリーマン・ショック以来の10年ぶりの高さとなりました。

こんな中、実際に、モンゴルトグログはどれくらい価値を失ったのでしょうか?また、今後のリスク要因は何でしょうか?

 
1ヶ月
3ヶ月
6ヶ月
1年
MNT
4.1%
4.4%
7.5%
4.6%
JPY
2.5%
3.1%
6.5%
1.1%
EUR
0.5%
2.1%
6.8%
2.0%
CNY
0.6%
3.7%
9.2%
3.5%
RUB
-4.7%
6.0%
14.8%
14.8%
INR
2.7%
7.6%
14.0%
13.2%
IDR
2.8%
6.1%
10.6%
12.9%
BRL
-5.5%
-0.6%
14.0%
21.6%
TRL
-3.5%
34.9%
52.5%
66.4%
注:2018年10月8日から遡って換算。MNTはモンゴルトグログ、JPYは日本円、EURはユーロ、CNYは中国元、RUBはロシアルーブル、INRはインドルピア、IDRはインドネシアルピア、BRLはブラジルリラ、TRLはトルコリラ
出所:XE

米国が対中国の輸出に25%の税率を課すと宣伝した2018年7月や、それ以前に貿易戦争が始まることが色濃くなって来た半年前から見てみても、世界の各国通貨に対して、ドル高が続いています。6ヶ月前の水準と比較すると、モンゴルトグログは、ユーロと日本円を除く全ての主要通貨や新興国通貨より良いパフォーマンスとなっているのが伺えるでしょう。

外貨準備高が十分な水準にあることや、経済が順調に推移していること、2021年までに大幅な資金調達が必要としないことなどから、少しは安心できるかも知れないですが、それだけが全てではありません。

以下のいくつかの点で、今後の為替の動きが留意、注意が必要と考えられます。

  • 2019年において、特に新興市場におけるドル不足が続く可能性
  • 2019年に米国や中国、世界経済が失速する懸念(以前と比較して1%ポイント失速する予想)及び、その余波
  • 2019年にモンゴル主要輸出品である鉱物の価格が下落するリスク
  • 中国による鉱物へのタリフ上昇リスク
  • 過去一ヶ月で、ロシアルーブルや、トルコリラ、ブラジルリラ等が調整局面に入っているにも関わらず、トグログが一足遅く下落して来たこと
  • モンゴル国内における銀行貸出の約40%がドル建てとなっていることから、今後、ドル不足局面でのリスクの顕在化
  • 投資家心理として、上値抵抗線としての2500トグログ突破による、ドル買い、トグログ売りの懸念

ファンダメンタルズ的にはトグログ圧迫要因は少ないにも関わらず、上記のリスク要因が孕む中、今後のトグログ為替レートに注目して行きたいところですね。もちろん、2019年に海外直接投資の増加や、タヴァントルゴイのIPO等が起きれば、ポジティブに動くと思われますが。今回の国会で議決される税制改正や、2019年の国家予算も絡んで来ます。

来週の第3四半期の数値にも注目したいところです。

もんじゃ、次回まで。