モンゴル国、通称モンゴルは、東アジア北部に、ロシアと中国の間に位置する国家。156万4,100平方キロメートルと日本の約4倍の国土を持ちながら、人口わずか311万9,935人(2016年,モンゴル国家統計庁(以下「NSO」))と、人口密度として世界でも少ない。首都はウランバートルに、人口の約45%が集中。民族として、モンゴル人(全体の95%)及びカザフ人等があり、国家公用語はモンゴル語。主な宗教はチベット仏教等。社会主義時代には宗教は禁じられ、衰退していたが、民主化(1990年)以降に復活。1992年2月の新憲法は信教の自由を保障。
紀元前1300年よりモンゴル高原に遊牧民の国家が建国されており、匈奴等の数々の国家を経て、13世紀にモンゴル帝国として歴史に登場するモンゴル国だが、現在のモンゴル国としての歴史は1911年以来と、約100年。1911年に辛亥革命を経て清朝より分離、自治政府を樹立するも、1919年に自治を撤廃し中国軍閥の支配下に入る。1921年に活仏を元首とする君主制人民政府成立,独立を宣言(人民革命)、1924年11月に活仏の死去に伴い人民共和国を宣言。ソ連に次ぐ世界で2番目の社会主義国となったモンゴル人民共和国は、旧ソ 連・東欧圏の改革に呼応する形で民主化・市場経済化を図り、1990 年に複数政党制を導 入、1992 年には憲法を改正して新生「モンゴル国」が誕生した。なお、国連加盟は1961年、日本との外交関係樹立は1972年となっており、今年国交樹立45周年となっている。
民主化以降は大統領制と議院内閣制の併用。
主な産業は鉱業,牧畜業,流通業,軽工業。民主化以降日本を始めとする各国や国際機関の指導,助言及び支援により市場経済化に向けた構造改革を推進し、1994年に初めてプラス成長に転じており、以降、経済規模は約10倍に成長。特に2010年以降,鉱物資源分野の順調な発展に加え,鉱物資源の国際相場の回復が内需の拡大を後押ししたことにより,2010年の経済成長率は6.4%,2011年には17.3%とV字回復を果たし、2012年12.4%,2013年11.7%と高い経済成長を続けたが,資源ナショナリズムを背景とする制限的な対モンゴル投資政策や法律の制定により,対モンゴル外国投資が激減したほか,中国の景気減速や世界的な資源安の影響により主要産業の鉱業が不振となり,2015年の経済成長率は2.3%,2016年は1%まで落ち込んだ。こうした厳しい状況を踏まえ,モンゴル政府は2017年2月,国際通貨基金(IMF)との間で拡大信用供与措置(EFF)の受入れに合意した。今後はIMFのEFFに基づき,財政政策,金融政策及び銀行の改革に取り組み,いかに経済・財政の立て直しを行うかが課題。
1990年の市場経済化の後、年間300%に達するハイパーインフレに悩まされたが、2000年代より二桁インフレに、2013年より一桁インフレへと落ち着いた。2016年のインフレ率は1.1%。 19歳までの人口は総人口の約36%を占める非常に若い人口を有しており、また労働人口(15-64歳)は総人口の67%を占める。失業率は6.7%(2016年現在)。中でも男性の失業率は7.2%と女性の失業率を大きく上回っており、女性の活躍は著しい。
日本はモンゴルへの最大の援助国家であり、また貿易においても上位5カ国に入る。ゆえに、非常に親日国家であり、また現在も両国の関係を強化する政策が多くなされている。
モンゴルのマクロ経済
中国景気の減速や、世界的資源安の影響により、2014年までの高度成長から一転、2016年に1%程度の経済成長及び多額の財政赤字に悩まされていたモンゴルマクロ経済ですが、国際通貨基金(IMF)による拡大信用供与措置(EFF)の実施による投資家心理の回復や、世界資源価格の回復等を受け、2017年第一半期においては予想GDP成長率(年率)の4.3%を上回る5.3%を記録した。中でも、石炭の輸出額は前年同期比で4倍以上増加と大きく寄与している(価格増加による寄与は約2.2倍、輸出量増加による寄与は1.99倍)。中国による対北朝鮮石炭輸出規制によるものが多いとみなされる。 なお、財政赤字は2016年末において、GDP比で以前-15.2%と過去最大に上り、また対外債務がGDP比で202%と過去最大に上っており、未だ安心できる状況といいがたい。IFMによるEFFの結果がどのように上記の数値に影響するかが今後の課題となるものの、内閣総辞職を経て、時期内閣が組織されるまでどの程度時間かかるかなど、不透明性を依然孕んでいる。
モンゴルマクロ経済主要指数
2012 |
2013 |
2014 |
2015 |
2016 |
|
人口(百万人) |
2.8 |
2.9 |
2.9 |
3.0 |
3.0 |
一人当たりGDP(米ドル) |
4,377 |
4,598 |
4,165 |
3,999 |
4,044 |
一人当たりGDP(PPP米ドル) |
9,969 |
11,094 |
11,955 |
12,148 |
12,220 |
GDP(十億米ドル) |
12.4 |
13.3 |
12.2 |
11.9 |
12.2 |
経済成長率(GDP、年率、%) |
12.5 |
11.6 |
8.1 |
2.5 |
1.1 |
失業率(%) |
8.2 |
7.9 |
7.9 |
8.0 |
7.9 |
財政収支(対GDP比、%) |
-6.8 |
-1.2 |
-3.9 |
-5.0 |
-15.2 |
公共債務(対GDP比、%) |
51.3 |
67.3 |
76.5 |
78.1 |
90.3 |
インフレ率(CPI、年率、%) |
14.3 |
10.5 |
12.8 |
6.6 |
1.1 |
政策金利(%) |
13.25 |
10.50 |
12.00 |
13.00 |
14.00 |
為替レート(トグログ、対米ドル) |
1,378 |
1,660 |
1,888 |
1,993 |
2,488 |
貿易収支(十億米ドル) |
-2.4 |
-2.1 |
0.5 |
0.9 |
1.6 |
輸出(十億米ドル) |
4.4 |
4.3 |
5.8 |
4.7 |
4.9 |
輸入(十億米ドル) |
6.7 |
6.4 |
5.2 |
3.8 |
3.4 |
輸出増(年率、%) |
-9.1 |
-2.5 |
35.1 |
-19.1 |
5.4 |
輸入増(年率、%) |
2.1 |
-5.8 |
-17.5 |
-27.5 |
-11.6 |
国際準備金(十億米ドル) |
4.1 |
2.2 |
1.7 |
1.3 |
1.3 |
対外債務(対GDP比、%) |
124 |
144 |
172 |
191 |
202 |